
文部科学省、大学病院機能強化推進事業に77件を選定 東大は選定されず
文部科学省は11日、大学病院機能強化推進事業(経営環境の改善に資する教育研究基盤の充実)の選定結果を公表。計78件の申請のうち、77件を選定したと発表した。
大学病院は、高度医療の提供や医師の養成と地域への輩出、新たな医療の研究・開発を行なう場としての役割等、他の医療機関にはない重要な役割を果たしている。しかし、昨今の物価高騰等の影響を受け、これらの機能が低下し、地域医療の崩壊といった、社会全体に影響を与えかねない事態に直面している。
こうした厳しい状況を踏まえ、設計されたのが本事業である。各大学が策定している大学病院改革プラン等に基づく病院運営の構造転換を図る大学病院に対し、教育研究基盤を充実させる取組みを支援することを目的としており、安定した経営基盤の強化による、大学病院の機能強化が目指されている。
申請の対象となるのは医学部を置く国公私立大学で、当初1大学5億円×64か所程度、総額349億円の大型予算が組まれていた。
公募は2026年1月6日~2月4日の期間にて行われた。計78件の申請のうち、77件が本事業に選定されている。審査は大学病院機能強化推進事業選定委員会において実施され、大学病院の改革ビジョン、事業の実施体制、都道府県等自治体との連携体制、及び医療設備の具体的な活用方法に関する計画等につき、書面審査・合議審査を行なったという。また、審査結果を交付額に適切に反映する観点から、選定された取組みの審査結果に応じて段階的に減額措置(最大 50%)がとられている。
今回、公募要領上の選定件数を64件としていた中で、78件の申請があったことについて、文部科学省は「大学病院の経営状況が極めて厳しいこと、また、大学病院が教育・研究・診療、そして地域貢献といった重要な役割をより一層果たそうとしていることに対する意欲の高さを表すものと受け止めて」いるとした上で、「今回選定された大学の取組は、それぞれ特色と創意工夫に富む内容となっており、今後各大学において事業計画を着実かつ迅速に実行し、本事業の成果を最大限に発揮されることを期待」すると述べる。
申請のあった78大学のうち、唯一選定されなかったのが東京大学である。今般の同大医学部・附属病院の複数の教員が収賄罪で逮捕・起訴された事案踏まえ、現在大学内で検討されている医学部・附属病院の組織風土の見直しなどの改革策が現状明らかにされておらず、病院長のマネジメント体制など本事業の実施体制に疑義があるとして、選定が見送られた。
加えて、九州大学については、病院長が出張旅費に係る不正行為により辞任するという事案が発生しており、申請内容や当該事案の内容等を総合的に判断して、30%の減額措置がとられている。
選定委員会は、これらの事案について、医学部・大学病院に対する社会の信頼を大きく損なう行為であると指摘したうえで、関係者に対し倫理意識の徹底と、コンプライアンス体制を確立を強く求めている。

【参考】大学病院機能強化推進事業(経営環境の改善に資する教育研究基盤の充実)(出典:文部科学省)
詳細は下記リンク先から確認できる。
・文部科学省|大学病院機能強化推進事業(経営環境の改善に資する教育研究基盤の充実)の選定結果について
・文部科学省|大学病院機能強化推進事業(経営環境の改善に資する教育研究基盤の充実)
執筆:山口夏奈(KEI大学経営総研 研究員)


