
『教育とは何か』ティム・インゴルド 著 古川不可知 訳(亜紀書房刊)
『教育とは何か』ティム・インゴルド 著 古川不可知 訳(亜紀書房刊)
すべての学ぶ人と、教える人たちに
■本の内容
「教育=知識の伝達」という伝統的な教育観、
そして市場原理にとらわれた教育の再生のために──。
効果的に学生─消費者へと配達される「知識の商品」は、
不確実な外部から身を守り、自己を内部に閉じ込める「知の鎧」にすぎない。
人類学の枠を超え、アート、デザイン、ビジネスの世界にまでインパクトを与え続ける思想家ティム・インゴルド。
人類学を軸に、さまざまな研究者の知見をひもとき紡がれる文章が、教育、そして生きることに、新たな視座をもたらす。
■著者:
ティム・インゴルド(Tim Ingold)
1948年生まれ。イギリスの人類学者。ケンブリッジ大学で博士号を取得。ヘルシンキ大学、マンチェスター大学を経て、1999年からアバディーン大学で教える。『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』『生きていること』(左右社)、『ライフ・オブ・ラインズ──線の生態人類学』(フィルムアート社)、『人類学とは何か』『応答、しつづけよ。』『世代とは何か』(以上、亜紀書房)など。
■訳者:
古川不可知(ふるかわ ふかち)
1982年生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究院・共創学部准教授。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。専門は文化人類学、ヒマラヤ地域研究。訳書にR・ウィラースレフ『ソウル・ハンターズ——シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(奥野克巳らとの共訳)、著書に『「シェルパ」と道の人類学』(共に亜紀書房)、編著に『モビリティと物質性の人類学』(春風社)がある。
目次
まえがき
第1章 伝達に抗して
学校を離れる
生の連続性continuity
共有化と変異
系譜学的モデル
堂々めぐりを解く
どのようにレシピを辿るか
理性と継承
学校に戻って
第2章 注意のために
習慣の原理
散歩をする
注意性と交感
配慮と憧憬
世界への愛と仲間としての構え
教育としての注意と注意の教育
弱く、貧弱で、危険
第3章 短調の教育
アンダーコモンズ
長調と短調
習慣の自由
勉強が意味するものについて
説明から感覚へ
教師は何を教えることができるのか
学習者の道具箱
第4章 人類学、芸術、そして大学
教育としての人類学
参与観察
学校とフィールド
アーティストは真の人類学者か?
科学を柔らかくする
STEM、STEAMおよびSHAPE
人類学は教育する!
第5章 共通善のための大学
人類学と来るべき大学
学問の自由について
脱植民地性
大学、多遍性/大学、多元宇宙/大学
探索、また探索
事実を超えた真実
アマチュアと専門家
学問領域──テントかタコツボか?
共通善
教育と民主主義
コーダ
あとがき
定価 2,860円(税込)
刊行日 2025年9月12日