TOPインタビュー

国際紛争、大規模災害、少子高齢化など、厳しい状況の中で新しい道を拓くための人材育成・社会貢献に資する大学への期待は大きい。真摯に改革に取り組む大学トップの声を紹介する。

大和大学 田野瀬 良太郎総長インタビュー[前編]

大学づくりへの挑戦――白鳳女子短期大学の設立

私は昔から、寄ると触ると「海外に行きたい」とか「高等教育を実践したい」と言ってきました。「西大和学園の中高一貫校だけでは寂しい。幼児教育も、初等教育も、中等教育も、高等教育も、全ての教育がなされている、そんな総合学園をつくりたいんだ」という夢を、常に語ってきたんです。

おっしゃる通りです。しかし、いざ白鳳女子短期大学(現 大和大学白鳳短期大学部)をつくると言ったときには、皆に笑われました。少子化が急速に進む中、短大がどんどん募集を停止していっているというのに何てことをしようとしているのだと。けれども、私はひるむことなく、「およそ10年前に皆と語り合った夢を実現するんだ」と言って突き進みました。将来的には4年制総合大学をつくることを目標に、まずは短期大学から「大学づくり」に挑んだのです。

白鳳女子短期大学(現 大和大学白鳳短期大学部)(写真提供:大和大学)

1998年、白鳳女子短期大学は「国際人間学科(現総合人間学科)」を設け、いわゆる一般教養型の短大としてスタートしました。けれども、やはり時代の趨勢は厳しく、学生募集では非常に苦労を強いられます。

一方、当時も現在と変わらず、資格が取得できる大学へのニーズは存在していました。それを踏まえ、資格系の大学にシフトチェンジすることにより、ようやく短大を軌道に乗せることに成功します(2002年幼児保育専攻(現こども教育専攻)」設置、2005年看護学専攻設置、2007年理学療法学専攻(現リハビリテーション学専攻)設置)。現在本学では、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭、看護師、助産師、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等のさまざまな免許・資格が取得可能です。

大和大学白鳳短期大学部

4年制大学の場合、当然4年間の学びを経て免許取得となるわけですが、短大ではそれを3年で取得できます。さらに、本学では追加で1年学ぶことにより、助産師や保健師等の資格も取得可能です。これは、通常の3年にプラスして1年専攻科で学ぶことで、「ダブル資格」が取得できることを意味します。しかも、4年制大学卒業と同等の学士号も取得できるのです。

4年制大学に通うのとまったく同じ期間で、「ダブル資格」と「学士」の学位が得られること、これが本学の特色であり、「売り」だと言えるでしょう。

さまざまな調査を行ない、時代の流れ、世の中のニーズを見極めたうえで設置学部を決定しています。学部新設の際、最も留意すべきは「世の中のニーズ」ですからね。

出口は必ず意識しなければなりません。出口をよく考えた上で、「次はこれだな、次はこれだな」と決めていっています。

▶リンク:「東の早慶、西の大和」をめざす重点施策について語られる[後編]はこちら


大和大学 田野瀬 良太郎 総長

プロフィール
大学時代1年間アルバイトをしながら、ロシアからヨーロッパ、中近東、東南アジア等33カ国を歴訪。これを機に政治の道を志し、1973年市議会議員初当選。その後、県議会議員、衆議院議員に当選し、自治政務次官、財務副大臣、自民党文部科学部会長、自民党三役・総務会長等を務める。議員活動を始めてまもなく、教育は政治上の最重要課題であると痛感し、実践として1981年なかよし保育園を開園。西大和学園高等学校、西大和学園中学校、西大和学園カリフォルニア校、白鳳女子短期大学(現 大和大学白鳳短期大学部)を設立し、2014年4月、西大和学園の集大成として大和大学を開学し、学長に就任。2025年4月より同大学総長。名古屋工業大学卒、柔道5段。2017年春の叙勲において「旭日重光章」受章。

著書
『なぜ田舎の無名高校が東大、京大合格トップ進学校になれたのか 西大和学園の躍進』(主婦の友社)
『田舎に帰った青年が三バン(地盤・看板・鞄)もなく国会議員になった話』(主婦の友社)


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