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佐賀大学 兒玉 浩明学長インタビュー[前編]

連携に向けた課題と、さらなる大学間連携への展望

コロナ禍を経て、誰もがオンライン授業に対しあまり抵抗感を持たなくなりました。共同教員養成課程を設置するうえで、それがプラスに働いたことは間違いありません。しかし、対面授業に比べると、さまざまな課題があることもまた事実です。 

教員が一方的に講義するような座学の授業であれば特段問題はないのかもしれませんが、例えばアクティブラーニングを中心とする授業に関しては、オンライン授業が発達してきているとはいえ、限界があるように思います。この点については、これから教育学部の先生方が検討を進めていく中で、どの授業をオンラインで実施するのかということも含めて、克服してもらわねばならない課題です。

また、授業担当教員は両大学の学生を指導していくことになるため、必然的に指導する学生数が増えます。このこともまた課題となってくるのではないでしょうか。例えばオンラインでグループワークをさせたときに、各グループ、各学生の状況を教員がすべて把握するのは非常に大変です。オンライン授業を活用できるようになったことが、共同教員養成課程を設置する上でプラスに働いたことは確かですが、まだまだそこに課題は残っていると思います。 

先生方の教授力の向上、やはりその点は期待するところです。また、実験や実習科目については、必要であれば、手元を映すための高度なカメラなど、設備・技術的な準備も整えたいと考えています。 

まずは自発的なものだと思います。共同教員養成課程を実施していく中で、多くの課題が発生するでしょう。その状況下で、今すぐに研修まで制度化してしまうと、先生方に多大な負担を掛けることになります。研修などを制度化するのであれば、実際に共同教員養成課程を実施してみて、さまざまな課題が見えてきたところで検討するのが良いのではないでしょうか。

それを期待しています。 

教務情報の管理も課題の一つです。先ほども申し上げたとおり、両大学の学生を指導していくことになるため、例えば成績について、評価基準はもちろん、成績管理の仕組みをきちんと整備しなければなりません。

当然ながら、両大学は別々の教務システムで動いています。それを連結するのは非常に困難です。そのため、両大学の事務職員がしっかりと連携を取ることが求められます。

このことに関して、本学の教務課は学部ごとに分かれてはおらず、一元管理となっているため、このノウハウを活用すれば課題を解決できるのではないかと期待しています。

そして、その連携の形はますます多様化していくことが予想されます。本学としても、連携することで教育効果がもっと上がる、本学の研究力がもっと向上するようなリソースを持つ大学と、新しい連携を取っていきたいです。 

ちなみに、現在九州地区では11の国立大学が連携し、「九州学」という1つの授業をつくっています。特定の分野について、各大学のエース級の教員が九州各県・各地域の特色を活かした講義を行ない、その魅力について、学生に多角的な学修を促すことをねらいとした授業です。これがおっしゃられた「さらなる大学間連携」の第一歩と言えるのかもしれません。 


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