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山代寛学長

沖縄大学 山代 寛学長インタビュー[後編]

学生の広い視野の獲得を目指して――沖縄大学自慢の「県外留学制度」

実は本学は、「単位互換」「派遣学生」の制度を全国ではじめて導入した大学です。本学に在籍したまま、半年あるいは1年間、提携先の大学で学ぶことができます。1979年の制度導入以来、国内外の大学との間で、毎年相当数の学生の派遣と受け入れを行なってきました。沖縄を離れて本土で学ぶことで、沖縄というものを客観的にとらえ直し、沖縄そして日本の社会には多様な文化等があることを認識してもらうのが目的です。

留学制度 – 学生生活 | 沖縄大学 (okinawa-u.ac.jp)

提携大学についても、ありがたいことに、本学からお願いしてということではなく、先方から「どうですか」とお声掛けくださいます。今回新たに、東京外国語大学さんとも連携協定を結ぶことになりました。これで県外の提携大学数は14校になります。東京外国語大学さんは「東京だけが日本じゃない」とおっしゃっており、先方に来られている留学生にも本学に来て学んでもらう機会を与えたいとお考えのようです。それは本学の活性化にもつながるため、喜んでお申し出をお受けいたしました。反対に、本学から先方へは、英語をはじめとするさまざまな言語を学びたい学生を派遣する形になるかと思います。

東京外国語大学との連携協定調印式を開催 | 沖縄大学 (okinawa-u.ac.jp)

そのとおりです。4年間できちんと卒業できるような単位互換の仕組みを整えています。この制度を開始したのが本学だということもありますが、この仕組みはきちんと機能している。本学自慢の留学制度です。

沖縄県外の学生にも、ぜひ沖縄大学に来てほしいと思っているので、それが実現すればとても嬉しく思います。

県外から来てくれる学生たちにとって得るものが多いのはもちろん、彼らとの交流は県内出身の学生たちにも良い刺激を与えてくれます。相互の刺激、それこそ多様性ですよね。そして、例えば東京出身の学生がそのまま沖縄に残って就職してくれたら、県としても新しい刺激があって良いのではないかと思います。

現在、本学の学生の8割以上は県内出身者ですが、かつては、県外出身の学生がとても多い時期もありました。それは入試が少々特殊だったことに起因するのですが、その時入学してくれた学生たちのなかには、やはりユニークな人材がたくさんいたのです。そして、彼らの沖縄大学愛はとても強いので、冒頭の話に戻りますが、OB・OGとして、本学のことを結構気かけてくださっているんですよね。

そうですよね。私も島根県出身なので、その気持ちはとてもよく分かります。

また本学では、本土の合同入試説明会に参加するのみならず、「少し旅費を負担するので大学をぜひ見に来てください」と招待する形式もとっています。オープンキャンパスで大阪出身の学生がいたりもしますね。入試下見も兼ねて、ぜひお越しいただければと思います。

入試会場に関しては、本学以外に別で設けてはいませんが、県外・離島の受験生のために航空運賃を補助する制度を用意しています。加えて、共通テスト利用でも受験可能なので、遠方の受験生には、ぜひそちらも活用していただきたいです。

おっしゃるとおりです。ただし、県外に出て行ってしまうこと自体は、県内の大学に魅力が不足していることの裏返しかもしれないので、そこは我々が頑張らなければなりません。

しかしながら、沖縄県が県外に学生を送り出すことに積極的支援をするのなら、県内大学への進学者にも同様の支援をいただきたいと、沖縄県私立大学協会でも問題になっています。

先ほどの国内留学の話とも重なりますが、沖縄で学ぶこと、なんなら沖縄に来るだけでも、非常に多くの学びを得ることができます。多様な文化、豊かな自然、沖縄戦の爪痕などに実際に触れることを通して、単に自身の知識を深めるだけでなく、多角的な視点を得て、豊かな経験を積む絶好の機会となることは間違いありません。そしてこれは、全国の大学さんが、国内留学の提携先として本学を選んでくれたことにも表われていると言えるでしょう。こうした角度から、県に沖縄で学ぶことの価値をもっとアピールしていかなければと考えています。


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