
武蔵野大学 小西聖子学長インタビュー
■学びにおける、本の役割
--AIから、少し話がそれるのですが、「本の役割」についてお聞きしたいと思います。今の大学生は本を読まず、YouTubeなどを1.5倍速で視聴して情報を得ることが多いと聞きます。学問の世界における「本を読む」という行為の位置づけを、どのようにお考えですか。
小西学長:本の利点は、自分のペースで思索しながら読めること、そして必要な情報以外の「余計な情報」に触れられる点。本を読む前は不要だと思っていた箇所が、気に入ることもありますね。

--例えば、語学に関して言うと、紙の辞書を引いた時に、目的の単語の前後にある別の単語も自然と目に入ってきます。このような出会いが、知識に厚みと広がりをもたらします。このような「偶然に出会う」体験を、カリキュラムに組み込んでいくことも、構想にあるのでしょうか。
小西学長:そうですね。今の教育は、成功への道筋をあまりにもきっちりと描きすぎて、失敗から学ぶ機会や、寄り道の中から何かを発見する機会を奪ってしまっているのではないでしょうか。効率性だけを追求する学びは、かえって人の経験を痩せ細らせてしまう危険性があると思います。


