関西大学 高橋智幸学長

関西大学 高橋智幸学長 インタビュー 「寄り道」を肯定することが学生の豊かな人生を構築する

高橋学長:そうですね。学生の多様性ということを考えると、留学生が増えることは重要。ソーシャルインパクトという観点からも、本学では全学で留学生と日本人学生が同じ場所で学び合うことを提供しています。他大学と比べて珍しい試みかもしれませんね。

高橋学長:最近では、インドや、アフリカには特に注目しています。国費で来る学生も多いのですが、本学で学んだ学生たちが、帰国した後に国のリーダーとなっていく。このような流れを広げて行きたいですね。

ただし、学生の多様化を推進したいという意味では、留学生、あるいは(リカレント教育の一貫で)社会人をさらに呼び込みたいとは思いますが、単に「学生数を増やす」ことを目的にすることはありません。学生が北海道から沖縄まで、さらには海外からも集まり、社会人と一緒に学ぶキャンパスが理想ですね。

高橋学長:組織のリーダーは、自分の任期中の絵しか描けないようではいけません。自分の任期を超えた未来のビジョンを描いてこそ、組織は持続的に発展できる。その信念のもと、実は今、学内の研究力を飛躍的に向上させるための大規模な支援制度も準備しています。これは10年以上にわたり、億単位の研究資金を複数支援するもの。私たちが日本の科学技術の未来を担うという気概の表れでもあります。短期的な成果に囚われず、未来への投資を続けるべきだという責任を感じています。

■人生を変えた一冊

高橋学長:鈴木大拙の『禅と日本文化』(岩波新書 赤版)です。高校生の時に出会い、自分が日本人であることに自信を持つきっかけになりました。人生が変わったと言ってもいいですね。この本は、読む年代や境遇によって得られるものがまったく変わってきます。10代で読んだ時、30代、40代で読んだ時、そして今読んでも、また違う発見がある。自分の中に何かを探している人、人生の壁に当たっている人に、手に取ってもらいたい一冊です。英語で書かれた原著も読みやすいですし、新訳(角川ソフィア文庫 他)や解説本も出ているので、ぜひ読んでみてください。

(記事終わり)


禅と日本文化』(岩波新書)
 著者 鈴木 大拙
 訳者 北川 桃雄
 出版社 岩波書店 (1964/03/21)

関西大学 学長 高橋 智幸 氏 プロフィール

経歴:
1991年 東北大学工学部土木工学科 卒業、1993年 同大学大学院工学研究科土木工学専攻博士課程前期 修了。1993年 同大学大学院工学研究科土木工学専攻博士課程後期 中途退学、同大学工学部土木工学科 助手に就任、1998年、博士(工学)取得(東北大学)。
1998年 京都大学防災研究所 助手、2000年 米国ワシントン大学 客員研究員、2002年 秋田大学工学資源学部土木環境工学科 助教授、2005年 米国ハワイ大学 客員研究員、2007年 秋田大学工学資源学部土木環境工学科 准教授を経て、2010年 関西大学社会安全学部 教授に就任。
2012年 関西大学社会安全学部 副学部長、2018年 同大学社会安全学部 学部長および学校法人関西大学 理事、2020年同大学 副学長。
2024年10月に、関西大学 学長に就任、現在に至る。

研究分野:
津波や高潮、洪水などの水災害に関する防災・減災の研究

学外での主な役職
特定非営利活動法人大学コンソーシアム大阪 理事長
一般社団法人日本私立大学連盟 常務理事
公益財団法人大学基準協会 理事
文部科学省地震調査研究推進本部専門委員
原子力規制委員会原子炉安全専門審査会及び核燃料安全専門審査会臨時委員
徳島県南海トラフ巨大地震被害想定検討委員会委員
高槻市都市計画審議会委員

インタビュー: 満渕 匡彦(KEI大学経営総研 上席研究員)/山口 夏奈(KEI大学経営総研 研究員)
インタビュー・記事執筆: 原田 広幸(KEI大学経営総研 主任研究員)

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