
関西大学 高橋智幸学長 インタビュー 「寄り道」を肯定することが学生の豊かな人生を構築する
■職員の発想を後押しする大学の「仕掛け」作り
--学生だけではなく、職員の方々の発想を促すための「仕掛け」作りもされていると伺いました。「雑談会」という取り組みについて、教えていただけますか?
高橋学長:「雑談会」は大きく二種類あります。一つは目的別の雑談会です。新しい企画を考える会では、「実現可能性やリスクは問わない。とにかく面白いことを探そう」というルールを設けています。関西大学としてやったら面白いようなことを探すわけですね。例えば「入試広報雑談会」では、情報過多の環境にある高校生たちの注意を引くにはどうしたらいいか話し合い、彼らが違和感を抱くような状況をあえて作り出そうということになりました。そこから、「コンビニの入店音を関西大学の校歌にしてみたら、高校生が『何だ、これ?』と興味を持つのではないか」というような、突飛だけれど面白いアイデアが生まれてくるのです。
もう一つは「ランチ雑談会」。これは私と若手の職員が弁当を食べながら自由に語り合う場です。「自分が学長だったら何をしたい?」「あのキャンパスの問題はどうする?」などテーマを設定してざっくばらんに話します。心に余裕がないと、創造性は生まれませんよね。ここでは、結論や結果を無理に求めるのではなく、思ったことを気楽に雑談する場となるように心がけています。
■日本の高等教育が担うべき未来への責任
--複合的に大学改革を進めている貴学ですが、日本全体として、高等教育はどのような役割を果たすべきでしょうか。
高橋学長:大学進学者数が激減すると言われている「2035年の崖」を乗り越え、生き残る大学は、国内の教育全体を底上げしていく責任を負うべきだと考えています。関西大学一校がよければいい、という時代ではありません。日本の国力が下がっていくのであれば、逆に教育の力でそれを押し上げなければならない。それが私たち教育機関の使命です。
--そのためには、大学間の連携も重要になりますね。
高橋学長:その通りです。特に関西・近畿圏の大学が連携し、「学ぶ場」としてのこの地域のブランドの価値を高めていきたい。東北地方出身の私から見ると、関西には、東京とは違う大きな強みがあるように感じます。それは「多様性への許容力」です。東京に様々な地域から人が集まると、皆が「東京人」になろうとする同化の圧力を感じますが、関西ではそれぞれの出身地の背景を持ったまま共存できる。「関西での生活を経て、自分の故郷に愛着をもつことができた」という意見も聞きます。多様な若者が混ざり合い、学び合えるこの環境は、日本の未来にとっても大きな価値があるはずです。
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