
関西大学 高橋智幸学長 インタビュー 「寄り道」を肯定することが学生の豊かな人生を構築する
■「寄り道」した時間が人生を豊かにする
--今は、高校生からキャリアパスを考えることも多いですが、大学に入ってから試行錯誤をしつつ将来の計画を立てていくという選択肢も必要です。
高橋学長:そうですね。高校時代に自分のキャリアを決められることはすばらしいけれど、決められない学生が劣っているということでは、決してありません。自分のことがよくわからない状態で、関西大学に来てもらって構わないと思っています。
私は、学生に(思いがけない偶然がもたらす)セレンディピティを経験してもらいたいと思っています。あえて「寄り道」する時間を肯定する。その何でもないような時間こそが、人生を豊かにするのではないでしょうか。
--その哲学には、学長ご自身の経験が反映されているのでしょうか。
高橋学長:私の趣味が、行き先を決めずにバイクで放浪することなんです。テントを積んで、天気予報を見ながら晴れている方へ向かって走る。このように目的なく時間を過ごしている時に、普段とは違う発想や価値観が生まれることがあります。こうした経験を、学生たちにもさせてあげたいですね。
そのための具体的な仕組みとして「ギャップイヤー」制度を、私個人として構想しています。他大学にも同様の制度はありますが、目指しているのは、効率的なプログラムとは一線を画すもの。留学でもインターンシップでもいい。あるいは、ただ放浪したっていいんです。
--この制度の対象となる生徒数は、どの程度を考えていらっしゃいますか?
高橋学長:私のイメージでは、学生数の5%です。40人のクラスなら2人。この5%という数字が、組織全体に良い影響を広げるための臨界点だと考えています。5%の学生が何か面白いことを始めれば、その経験は残りの95%にも良い形で伝播していくはずです。
--学生や保護者には、休学に対する不安もあるかと思います。
高橋学長:そこを乗り越えるのが大学の役割です。人生全体で見れば、1年の寄り道は長すぎるものではない。休学をネガティブなものとしてではなく、自分を見つめ直すためのポジティブな機会として再定義し、社会全体でその価値を認める文化を作っていくべきです。
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