
豊島岡女子学園 中学校・高等学校 インタビュー[後編]
増田:『探究Basic』の希望者が多いというお話をしましたが、それも『AcademicDay』の影響が大きいと思います。たくさんの発表を見ているだけで、自分が発表することが何もないのって、生徒としてもつまらないんですよね。当初はやりたいことが見つからなかったとしても、『AcademicDay 1st』『AcademicDay Final』を経て、「先輩はこんな面白いことをやっているんだ」という刺激は間違いなくあります。
十九浦:保護者の方々からも、「探究活動をやらせたい」という声をアンケートで多くいただきます。中学生の『探究Basic』だけでなく、高校生の『T-STEAM: Pro』、探究型の宿泊研修等でもそれは同じです。
--『AcademicDay Final』で、高校2年生の発表の際に、中学1年生の生徒が質問をしていて感心しました。しかも発表の内容自体も高度なものだったので、そこで臆することなく質問できるのは、すごく良い刺激になっているなと実際に感じました。
増田:中学1年生に関しては、『AcademicDay』で食わず嫌いをしないように、「この時間は高校生の発表のところに必ず顔を出す」等の緩いルールを設定しています。自分が好きなことだけに偏ってしまうのではなくて、いろいろな学年のいろいろな発表を見て、自分が面白そうだと思うものを見つけることができるように工夫しています。
また、中学生には高校2年生の代表発表を見てもらっています。特に頑張って取り組んできた先輩たちの発表なので、そこからいろいろなことを学ぶことができます。
十九浦:先輩から学ぶことはかなりあると思います。誰かにこれをやりなさいと言われるのではなくて、自分から発表を聞きに行って、何が学べるかをしっかりと感じとれた生徒がより先に進める。自分から動いた子が得する環境だと思います。
増田:先輩の発表を見て、「面白い」「自分もやりたい」となったら、「続きをやらせてください」と先輩にお願いして、活動を引き継ぐ生徒もいます。
実例として、現在豊島区と連携して、豊島区の若年層の困っている女性たちを支援につなげるためにはどうしたら良いかという課題に取り組んでいる生徒たちがいます。その生徒たちは、自分たちの代で取り組みが終わるのはもったいないからと、「私たちはここまでやってきた、この次をやってくれる人を探している」という形で発表をしています。
今取り組んでいる生徒たちも、実際に去年の先輩たちから引き継いで活動しています。今年は『トイレシール』といって、いろいろなところにポスターを貼っても、じっと見たり、連絡先をメモしたりというのは抵抗があるけれども、もしそれが完全プライベートな空間であるトイレに貼ってあって、そこにQRコードがついていたら、気軽にアクセスできるのではないかと考えて提案しました。それが今年実装されて、もうすぐそのシールが出来上がるというところまで来ています。ですので、それをまた引き継いでほしいという形で、今年は発表していました。
--先輩と後輩のつながりまでできているということですね。
増田:先輩と後輩のつながりで言えば、神戸のSSHの全国大会に行った子を伴走していたTAの卒業生は、自分が高校2年生の時に実際にその発表会に行っていて、その時の経験も踏まえてたくさん指導してくれました。
学校の中の関係もありますけれども、卒業生のTAと在学中の生徒たち、というつながりもすごく大きいかなと。
