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東工大 データ・ドリブンな教学改革とは何か

持続可能なIRについて

高松 IRには、引き継ぎの難しさという課題があります。研究では、再現性が強く求められます。再現性とは、簡単に言えば、誰が同じ実験を行っても同じ結果を得られるということです。しかし、近年、心理学の分野などでは、この再現性が困難だという研究結果が存在することも事実です。

話をIRに戻しますが、再現性は非常に重要です。他の人が同じ解析を行っても同じ結果が得られるということは、IRの文脈では、ある年に誰かが解析した結果を、後年に別の人が再び解析しても同じ結果が得られるということです。

たとえ関数を用いたExcelなどを用いていたとしても、最初に解析を行った人以外の教職員が全く同じデータを処理するのはなかなか難しいことです。特に、解析技術を持っている教職員しか解析できない状況が生じる可能性もあります。

再現性を高めるための第一歩は、教務システムなどからエクスポートされるデータを、プログラムを使って解析することだと考えます。これにより、解析方法が標準化され、異なる教職員でも同じ手法で解析ができるようになります。

しかし、プログラムが存在していたとしても、技術力の高い人がいた場合、その人にとって最も実現しやすい方法で複数の言語やスクリプトを組み合わせて解析することがよくあります。そのような場合、他の人に引き継ぐ場合は、複数の言語やスクリプトに精通した人でなければ引き継ぐことが難しくなってしまいます。これによって引き継ぎの問題が生じます。

IRの業務の引き継ぎにおいては、「実現性」(Feasibility)と「持続可能性(Sustainability)はトレードオフの関係にあります。そこで、我々は、FS分析(Feasibility Sustainability)を提唱しました。

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