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複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

【Ⅲ.学生の変化】Part.1「学生のメンタルヘルスと休退学」-全国国公私立大学学長アンケート2024-2025 詳細分析-

さらに、「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増加した」と回答した大学260校について、設置区分を基準にクロス集計を行った結果が図9である。なお朱字は、本部所在地別、収容定員別の集計において、全国値よりも高い割合を呈したものを示す。

図9 設問Ⅲ-1で「増えた」と回答した大学(区分のクロス集計)

前述のとおり、「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増加した」と回答した大学260校に、国立大学は28校含まれる(10.8%)。この28校を本部所在地および収容定員に従って分類し、区分ごとに「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増加した大学数」と、「その区分に占める割合」を算出した。公立大学、私立大学も同様である。

例えば、本アンケートに回答した北海道の国立大学は6校である。そのうち、メンタルヘルスに問題を抱える学生が「増加した」と回答した大学は3校あり、割合にして50%となる。つまり、北海道の国立大学のうち半数で、メンタルヘルスに問題を抱える学生が増えていると推測できる。


国立大学において、「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増加した」と回答した大学の各エリアに占める割合が高いのが、埼千神近畿である。ともにエリア内100%となっている。また、収容定員別でみると、国立大学では収容定員の少ない小規模単科大学ほど、「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増加した」と回答した割合が高かった。

公立大学では、「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増加した」と回答した大学の割合が80%を超えるエリアが7つ存在する。ただし、サンプル数に乏しい区分もあり、収容定員別の結果も含めて、その点はあくまでも参考にとどめるのが良いだろう。

私立大学においては、「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増加した」と回答した大学の割合が80%を超えるエリアは6つであった。エリアに占める割合が高い順に、北陸(100%)、四国(100%)、東北(92.9%)、九州(90.9%)、北関東(88.9%)、東京(80.0%)となっている。なお、収容定員別では際立った傾向は見られなかった。


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