2027年開校「ドルトンX学園」が提示する日本初教育モデルの全貌

3.校名「X」に込められた意味と求める生徒像

ドルトンX学園の校名に冠された「X」の一文字。これは単なる記号ではない。その選択は、同学園が掲げる教育哲学そのものを凝縮した、意図的なステートメントである。

変数としてのX

数学における変数xがそうであるように、この学校のあり方や学びの定義は一つではない。生徒一人ひとりが「自分にとってこの学校とは何か」「自分はどんな道を歩むのか」を自ら定義し、決定していく。生徒の主体性を最大限に尊重する姿勢が、この「X」には込められている。

関数としてのX (Xが変わればYが変わる)

生徒一人ひとりの行動や挑戦(X)が、決して自己完結するものではなく、地域社会や仲間といった周囲の環境(Y)に影響を与え、変化を生み出すという相互作用の概念を示す。自分の「最初の一歩」が、社会を変える力を持つことを教えてくれる。

未知への挑戦としてのX

学びのフィールドを一つに限定せず、国内外のどこへでも飛び出し、無限に成長していく生徒の可能性を象徴している。

そして、この「X」の理念に基づき、同学園が掲げる理想の生徒像は「自らの足で探究し、破天荒に出会い、フロンティアを共創する」姿である。

その象徴的なキーワードが「好奇心モンスター」だ。これは、既に特定の分野で突出した活動をしている生徒だけを指すのではない。まだ心の内に熱い好奇心を秘めている生徒、探究したい、何かを解決したい、誰かと協働したいという想いを持つ、あらゆる多様な生徒を歓迎するメッセージである。

最終的に同学園が育成を目指すのは、「何かを探究したい、という好奇心を持った時に、ためらわずに最初の一歩を踏み出せる人材」だ。その小さな一歩がやがて連鎖し、自分自身のキャリアプランや「どのような人生を歩みたいか」という根源的な問いへと繋がっていく。

活発に議論する生徒たち(ドルトン東京学園)

ドルトンX学園は、生徒一人ひとりが持つ未知の可能性「X」を解放し、彼ら自身が社会に変革をもたらす起点となることを強く期待している。そして、その学びの原点となるのが、本校が置かれる岩手という土地である。

(次のページに続く)

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