
文部科学省 「私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について(通知)」を発出
文部科学省は6月26日、全国の私立大学に対して、合格者が納付する入学金の負担軽減を求める通知を発出した。
入学金をはじめとする学生納付金は、私立大学の収入の多くを占めている。2006年の最高裁判所の判決でも、入学金について、「その額が不相当に高額であるなど、他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り、学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものであり、学生は入学金の納付をもって大学に入学し得る地位を取得するものであるから、その後に在学契約等が解除され、あるいは失効しても、大学はその返還義務を負わない」とされている。
他方、入学しない大学に納付する入学金が、学生や保護者にとって負担となっていることについては、国会等でもたびたび指摘がなされてきた。加えて、昨今は一般入試以前に、併願が可能な総合型選抜等を実施する大学が増え、入学者選抜の機会拡大・多様化が進行している。これにより、いわゆる「本命」の大学の合否が確定するまでに、入学金を複数の大学に納付する機会が拡大し、学生や保護者の負担となっている状況だ。
私立大学全体としては、入学金の額は低下傾向にあり、一部の大学では、入学金の減免や、納付時期の後ろ倒しを行うことなどの取り組みが行われているものの、高等教育における教育費負担軽減が重要な課題であることに相違はない。
当該通知では、2026年度大学入学者選抜に向けて、「各大学が設定している入学料の額や納付時期等の趣旨や考え方について、学生や保護者をはじめとする社会の理解を得られるよう、積極的に説明すること」「学生の経済的な負担軽減を図る観点から、入学料の額の抑制に努めること」「入学しない学生の納付する入学料に係る負担軽減のための方策を講ずるよう努めること」の3点について、必要な対策を行うよう要請がなされた。
その際、経済的に困難な学生への特段の配慮や、入学金納付後の学生の入学辞退の意思表示の時期が、大学において辞退者の代わりの入学者を決定することが可能な時期であること、入学金を納付する時期を複数回設定することなど、様々な観点から考慮することが望ましいとしている。各私立大学は、今秋以降の出願時期に向けて検討を進めることになる。
通知本文は、下記リンク先にて確認することができる。
文科省 私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について(通知)
Author:小松原潤子(KEIHER Online 編集委員)