
『大学で学ぶアカデミック・ライティングの教科書 <書く力>を引き出す問い109』 甲田直美 著(ひつじ書房刊)
『大学で学ぶアカデミック・ライティングの教科書 <書く力>を引き出す問い109』 甲田直美 著(ひつじ書房刊)
■本の内容
アイディアの発想からアウトライン、パラグラフの組み立て、推敲まで、文章作成に必要な技術を効率よく学べる、「一歩上を行くレポート・論文作成」を目指す人のための教科書。イラスト、写真、図解、問いをふんだんに盛り込み、授業用としても独習用としても万全の1冊。109題掲載した問いは、ペアワークやポイント確認にも使える。この1冊で大学で必要な論理力、分析力、思考力の肝要が学べる。書く技術を一生の宝物に。
■著者 甲田直美(こうだ なおみ):
東北大学大学院文学研究科・教授〈経歴〉2000年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。日本学術振興会特別研究員(DC,PD)、滋賀大学教育学部助教授、文部科学省在外研究員(Faculty Scholar, Department of Psychology, University of Massachusetts)を経て現職。〈主な著書〉『談話・テクストの展開のメカニズム─接続表現と談話標識の認知的考察』(風間書房、2001年)、『文章を理解するとは─認知の仕組みから読解教育への応用まで』(スリーエーネットワーク、2009年)、『物語の言語学─語りに潜むことばの不思議』(ひつじ書房、2024年)などがある。
目次
各章のタイトルと本書の構成
はじめに
文章作成についてのQ&A
科学の発展と論文、そして盗用・剽窃の禁止
序章 必要な技能と習慣化のコツを知る
1 教科としての「国語」に収まりきらない文章技術
2 文章作成のプロセス
3 ゴールは具体的に
4 スモールステップと強化
5 計画を見積もる
6 誰でも本当はできる
コラム 表現は改善できる
第I部 観察・分析から学ぶ
第1章 書きたい文章のフォーマットに精通する
1 正統的周辺参加
2 事例を集める
3 コミュニティの一員としての正統性
4 文献の探し方:国内から世界のトップジャーナルまで
4.1 J-STAGEを使ってみよう
4.2 主な論文プラットフォーム・検索データベース
4.3 すぐ調べることの積み重ね
5 「書く」ことを意識して「読む」
5.1 情報を得るための読み
5.2 手本として学ぶための読み
5.3 批判し、位置づけるための読み
第2章 クリティカル・シンキングで論理をみがく
1 論証はいたるところに
2 事実と意見
3 主張は根拠(データ)と論拠に支えられる
4 クリティカル・シンキング
5 情報源を吟味する
第3章 パラグラフ・ライティングは思考を整える
1 パラグラフの内部はどうなっているか
2 パラグラフ作成の実際
2.1 トピックセンテンスの作成
2.2 パラグラフの作成と評価
3 パラグラフ・ライティングの利点
コラム 説明したつもり
第4章 テキスト批評で上達する
1 検討する読み方
2 批評のための準備
2.1 多様な読み方で情報を集める
2.2 著者が解決したい問題を見つける
2.3 的確な要約をする
3 メタ読みのすすめ
4 誰でも質問できる方法
5 テキスト批評を書いてみよう
6 引用のしかた
コラム コミュニケーションの構成要因
第II部 実践につなげる
第5章 アウトラインを作ってから書く
1 アイディアの整理・整頓
2 アウトラインを作ろう
3 構成は重要だが、直しやすい
4 拡散と収束:アイディアの産出と整理
5 文章の階層構造:見出し機能
コラム 優秀な人が書く前にやっていること
第6章 定型表現で論を導く
1 アウトラインだけでは書けない
2 定型表現で誘導する
3 導入部の分析
コラム 論文以外にも使える「型」の重要性
第7章 文献レビューで影響力を高める
1 高い山に石を積む
2 要旨と「はじめに」は絶対読んでもらえる
3 問いを共有するための序論
4 どうしたら問いを共有させられるか:文献の示し方
5 一貫性効果
6 参考文献リスト
第III部 他者の視点に立つ
第8章 生成AIを援用する
1 生成AIの登場
2 質問や依頼を入力してみよう
3 生成AIによる文章作成支援
3.1 数打ち当たる
3.2 指定のフォーマットに変換する
3.3 構成や下書きをつくる
4 AIとの距離感
第9章 人間の特性をわかりやすさに活かす
1 伝わる構造
2 マジカルナンバー“7”
3 「針の穴に駱駝を通す」
4 連想のネットワーク
コラム ストーリーを際立たせる「しかし」と「ところが」
第IV部 学問の多様性から学ぶ
第10章 論文の構成と学問分野の広がりを知る
1 スクリプト、スキーマ
2 IMRaDとは:各分野での構成パターンを知る
3 文系、理系の区別って? 論文構成とIMRaD
4 学問の多様性と各分野の特色を知る
コラム 英語の論文から習う
第11章 データと問いを読み解く
1 データの切り取り方
2 知識の更新可能性とコミットメント
3 その問いは価値ある問いか?
3.1 縦軸の吟味:展開する答えの質
3.2 横軸の吟味:問い(リサーチクエスチョン)の質
3.3 縦軸×横軸:論の質
4 書かなければ何も残らない
5 アイディアを形にする
5.1 発想まで
5.2 アイディアをリサーチクエスチョンの形に構造化する
5.3 研究デザインを言語化する(研究プロトコル)
コラム アウトプットのすすめ
第12章 評価者との対話から振り返る
1 教師との対話とレポートの工夫
1.1 努力の跡を示す
1.2 レポートでは、実体験を組み込む
1.3 大学レポートは3割くらいが引用でもOK
2 査読者との対話
コラム もの書く人のかたわらには
付章 テキストマイニングで文章を分析する
1 テキストマイニングの重要性
2 文章の難易度を確かめてみよう:リーダビリティとは
3 Wordの校閲機能
4 タイトルを分析してみよう
4.1 タイトルの分析
4.2 タイトルの頻出語を調べる
5 文章内のことばを図示してみよう
6 コンコーダンサーで学ぶ定型表現
問いのヒント
参考文献
本文で言及した図書・雑誌の書誌情報、URL
索引
あとがき
定価 2,640円(税込)
刊行日 2025年7月25日