豊島岡女子学園 中学校・高等学校 インタビュー[前編]

■学校を飛び出して課題に向き合う――壱岐島・海外研修

増田:壱岐島の研修は、中学校3年生から高校2年生までの希望制で行っています。毎年春の時期に参加の生徒が決まると、壱岐市の担当者の人に、今どういうことが壱岐市で一番課題になっているのかお聞きしています。それを受けて、壱岐市の方が困っていることについての解決策をグループで考えて、いろんなテーマを設定していきます。人口の減少や、民宿の後継者不足、磯焼けの問題だとか、遠隔医療の問題、そういったいろいろなテーマについて、生徒たちがそれぞれのグループで取り組んでいきます。

研修では、壱岐市の方に直接お話を聞きに行ったり、施設を見に行ったり、実際に民宿でお手伝い体験をさせてもらったり、様々な体験をさせていただいています。

学んできたことは、研修の最終日に、地域の人も開放する形で発表を行うほか、『AcademicDay 1st』、『AcademicDay Final』でも活動内容を発表するという形で、通年で取り組んでいきます。

増田:学校を飛び出して、実際にとことん自分たちが解決したい課題に向き合うような、スケールの大きな取組ができないかという話をしていた時に、本校でペットボトルのロケットのコンテストを開いたのですが、「こんな小さなグラウンドではなくて、もっと本格的なところで、本格的なことをさせてあげたい」ということで、北海道の大樹町で火薬ロケットを飛ばすことになりました。

その際、サイエンスだけでなく、地域の課題という分野でも本格的に取り組ませてあげたいという話が出てきて、壱岐市では地域の課題に島をあげて取り組んでいるということで、ご提案をいただいたのが一昨年になります。

一昨年に続けて去年も研修を行い、地域の方との連携が続いている中で、実際に遠隔医療のテーマで生徒たちがお世話になっている光武医院という医院があります。そこで生徒たちが「地域の医療を助けるために、『LOVOT』を導入するのはどうか」と提案をして、実際に1台試験的に実装するところまで到達した、ということもありました。

実際にどういったことで困っているのか、お話を聞いたうえで生徒たちが取り組んでいるので、現地で生徒たちが提案をすると、「是非それについて私たちも入って一緒に考えたいです」と言ってくださる方もいます。生徒にとっても、壱岐市の方にとっても、すごく刺激になっている良いプログラムだと思います。

壱岐市での報告の様子(豊島岡女子学園中学校・高等学校HPより))
壱岐市での発表(学校HPより)

増田:まず、高校生が、インドのUttam School for Girlsという女子校と科学探究の交流をしています。『AcademicDay 1st』に合わせてUttamのほうから生徒が本校に来て、実際に発表してくれたり、本校の生徒が12月にインドに行ってポスターセッションで発表をしたり。『AcademicDay Final』では、合同でZoomをつないで発表会をするなど、かなり密に交流をしています。

また、今年度は探究型の宿泊研修として、ホノルルで研修をすることになっています。壱岐島と同様、実際に地域の課題を解決しに行くというテーマです。ハワイでの深刻な海洋汚染の問題や、マイノリティの人たち、土着の人たちの生活格差、ホームレスの問題など、様々な課題がある中で、生徒たちが実際に現地に行って調査をして、自分たちができることを提案していくというプログラムを考えています。 このプログラムについては実際に動きはじめていて、事前の研修として、地域の課題を解決するというのはどういうことか、実際に自分たちに与えられたものだけで解決策を見出すための考え方を学び、3月にはブループラネット賞の担当者の方で、海洋問題や地球の環境問題の専門家の方からお話を聞いて、そのお話をもとに、ハワイではどういったところにフォーカスを当てたら良いか、生徒たちが考えられるようにしていくワークショップも実施しました。

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