
文部科学省 国立大学法人等の機能強化に向けた検討会(第10回)を開催
6月17日、国立大学法人等の機能強化に向けた検討会(第10回)が開催された。この検討会は、2004年の国立大学等の法人化から20年が経過したことを機に、各大学の財務状況や制度活用状況、人事給与マネジメント改革、教育研究活動の活性化などについて現状分析を行い、今後の対応策を検討することを目的としている。
論点整理を踏まえ、現行制度で改革可能な事柄や事務的に詰めることは直ちに実施するとともに、今夏を目途に「改革の方針(仮称)」をまとめ、この方針に基づき2026年3月末までに文部科学省のクレジットで「改革基本方針」を提示する予定だ。

文部科学省「【参考資料3】国立大学法人等の機能強化に向けた検討スケジュール(イメージ)」より
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今回の検討会では、はじめに事務局が、これまでに実施したヒアリング調査結果や各種現状報告、各大学法人における事例報告等を踏まえた議論の整理を、以下に示す5つの観点(「今後の国立大学法人等の機能強化に向けた改革の方向性」)に沿って行った後、各委員からコメントを得るかたちで検討が進められた。
(1)2040年を見据えた機能強化の視点の明確化
(2)ガバナンスの抜本的強化
(3)機能強化の方向性に沿った組織の見直し
(4)教育の質の向上に向けた取組
(5)研究力の強化に向けた取組
このうち、「(3)機能強化の方向性に沿った組織の見直し」については、「国が方向性を押し付けるのではなく、各大学が『自分たちは何をできるのか』を、自大学の特徴も踏まえて考えるべきである」との意見のほか、「機能強化のポイントはマネジメントの強化であり、そのために、経営と教育の”連携”と”分離”をどのように進めるべきかを考えなければならない」との指摘もあった。
また、「地方大学においては、教育コストの削減や地域の人材確保の観点から、学士課程を3年に短縮したり、学士課程と修士課程を連続して5年とするなど、教育課程自体の見直しも考えられる」との意見も聞かれた。
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国立大学等が法人化された2004年当時とは、大学を取り巻く環境は大きく変化している。国立大学法人等全体としてのミッションである、
① 不確実な社会を切り開く世界最高水準の研究の展開とイノベーションの実現
② 変化する社会ニーズに応じた高度専門人材の育成
③ 地域社会を先導する人材の育成と地域産業への貢献
を果たすためには、大学間の競争ではなく、私立大学も含めた連携や、伝統的な教育・研究手法からの脱却、強固なガバナンスの構築など、様々な改革が求められる。
各委員からは、改革をよりよい方向に導きつつ、大学がそれぞれの特性を活かすことができる方針の提示に向けて、様々な角度からの提言がなされていた。
次回の検討会は2025年7月1日(火)に開催。今回の議論をさらに深掘りする形で、検討が行われる予定である。
配布資料等は、下記リンク先にて確認することができる。
・文部科学省:国立大学法人等の機能強化に向けた検討会(第10回)配付資料
・文部科学省:国立大学法人等の機能強化に向けた検討会
Author:小松原潤子(KEIHER Online 編集委員)