
東大・阪大ほかハーバード大留学生等を受け入れへ 文科省も各所へ協力要請
あべ俊子文部科学大臣は、5月27日の記者会見で、トランプ政権が留学生受け入れ資格の停止を通知したハーバード大学に留学している学生への、文部科学省の対応について回答した。
現在ハーバード大学には、110名の日本人学生と、150名の日本人研究者が在籍している。文部科学省としては、これらの人に不利益をさせないとの観点から、外務省と連携しながら具体的な影響や大学側の対応について、アメリカ政府に情報提供を求めている。
また、アメリカは日本人留学生の最大の受け入れ先であるため、ハーバード大学に限らず、現在留学中、あるいは渡航予定の学生からも不安の声が上がっている。文部科学省では、こうした声を踏まえて、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)に対して、アメリカ留学に関する相談窓口を設置するとともに、JASSOの制度で現在支援中の学生に対し、留学計画の変更や奨学金支給の継続といった対応をすることを検討するよう指示している。
今後、留学生受入れ禁止の措置が実施に移される事態に加え、トランプ政権が他の大学にも同様の対応を取る場合に備えて、日本国内の各大学に対し、留学が継続できなくなった学生の受け入れなどの支援策を検討するよう求めていく考えを示した。
あべ文科大臣は、「意欲と才能のある若者たちの学びの継続の保障に向けて、関係機関と連携して必要な情報の収集・整理に加えて公表を検討し、全力で取り組みたい」と述べている。
留学生の受け入れや支援については、5月28日現在、東京大学、京都大学、大阪大学、九州大学、北海道大学、東北大学、東京科学大学、関西大学などが検討を開始していることを表明。
大阪大学医学系研究科では、全学的な支援の動きと併せて、独自にアメリカに滞在することが難しくなった博士研究者を、国籍を問わず最大100名程度受け入れる準備を進めている。
トランプ政権は5月22日、ハーバード大学に対して留学生受け入れ資格の停止を通知したが、連邦地方裁判所は23日に一時差し止める仮処分命令を出した。しかし政権は27日、各国の米国大使館に対して、同国に留学するための学生ビザ(査証)の取得に必要な面接の新規予約受け付けを一時停止するよう指示。アメリカへの留学希望者に影響がさらに広がることが予想される。
(小松原潤子 KEIHER Online 編集部員)
・文部科学省 あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年5月27日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00591.html