KEI BOOK CLUB

高等教育関連の新刊書を中心に、さまざまなジャンルの書籍を紹介するコーナー

『東大生はなぜコンサルを目指すのか』レジ― 著(集英社新書刊)

仕事と成長に追い立てられる人たちへ

■本の内容

東大生の就職人気ランキング上位をいつのまにか独占するようになった「コンサル」。この状況の背景にある時代の流れとは?
「転職でキャリアアップ」「ポータブルスキルを身につけろ」そんな勇ましい言葉の裏側に見えてきたのは、「仕事で成長」を課せられて不安を募らせるビジネスパーソンたちの姿だった。
時代の空気を鋭く切り取った『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』の著者が、我々が本当に向き合うべき成長とは何なのかを鮮やかに描き出す。


■著者 レジ―:
批評家・会社員。1981年生まれ。一般企業で経営戦略およびマーケティング関連のキャリアを積みながら、日本のポップカルチャーについての論考を各種媒体で発信。著書に新書大賞2023入賞作『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(集英社新書)のほか、『増補版 夏フェス革命 -音楽が変わる、社会が変わる-』(blueprint)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア、宇野維正との共著)。X(旧Twitter) : @regista13


目次

・はじめに
就活ランキングを埋めつくす「コンサル」/成長したがるビジネスパーソンの裏側 ほか

・第一章 成長に魅せられ、振り回される人たち
「成長教」で人生のバランスが崩れる/「会社に頼るな」という風潮を作るのは誰か/安定したい、だから成長したい ほか

・第二章 成長に囚われた時代のカラクリ
今改めて読む『若者はなぜ3年で辞めるのか?』/働かせるためのキャリア教育/「やりたいこと」と「サバイブ」の悪魔合体 ほか

・第三章 「成長」と「コンサル」 東大生はなぜコンサルを目指すのか?
やりたいこと地獄へのカウンターとして/「MECE」「結論から話せ」「3つあります」/コンサルをバカにして、コンサルから学ぼうとする ほか

・第四章 コンサルタントたちの本音
インタビュー1 Aさん(20代・新卒)「安定のために努力している」
インタビュー2 Bさん(20代・新卒)「モラトリアム期間で武器を身につけるために」
インタビュー3 Cさん(30代・中途)「フレキシブルさが全然違う」
2つの共通点

・第五章 「成長」文脈で読み解くポップカルチャー
タワマン文学とコンサル/令和ロマンの分析と圧倒的努力/JTCから羽ばたいた宮脇咲良 ほか

・第六章 成長をめぐる不都合な真実
働き方改革が引き起こす「ゆるい職場」問題/イチロー発言と生存者バイアス/勤勉さは「出し抜く」ための武器か ほか

・第七章 成長に囚われずに、成長と生きる
戦うべき相手は「怠惰のウソ」/成長を目指してキャリア迷子にならないために/ジョブ・クラフティングで自己満足を ほか

・おわりに
「昭和のパロディが令和のコメディ」の時代を生きる ほか


定価 1,056円(税込)
刊行日 2025年5月16日

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