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『移民の教育政策を制度から問いなおす フランスにみる新規移民からその子孫まで』園山大祐 編著・監訳 (勁草書房刊)

半世紀を経たフランスの移民政策から私たちは何を学ぶことができるのか

■ 本の内容

2019年の入管法改正により、今後日本でも移民労働者の流入が予想されるが、その家族となる「外国につながる生徒」の教育機会は十分に保障されているとは言いがたい。すべての子どもに公正な教育機会を保障するにはいかなる施策が必要なのか。外国人児童生徒に対する施策をみるために、先行事例としてフランスの現状を検討する。


■ 編著・監訳者 園山大祐(そのやま だいすけ)

大阪大学人間科学研究科教授、博士(教育学)。専門:比較教育社会学、比較教育制度学。主著:『学校を離れる若者たち──ヨーロッパの教育政策にみる早期離学と進路保障』(編著、ナカニシヤ出版、2021)。『フランスの高等教育改革と進路選択──学歴社会の「勝敗」はどのように生まれるか』(編著、明石書店、2021)。『コロナ禍に世界の学校はどう向き合ったのか──子ども・保護者・学校・教育行政に迫る』(共編、東洋館出版社、2022)


■ 目次

はしがき[園山大祐]

 第Ⅰ部 移民の受け入れ政策と制度

第1章 半世紀を経たフランスの移民教育から何を学ぶか[園山大祐]

第2章 「特別な教育的ニーズ」と移民の子ども・若者たちの学校への受け入れ──手探りの政策論議[マイテナ・アルマニャーグ(池田賢市訳)]

第3章 国家はさほど強力ではないのか──大学区レベルにおけるフランスでの新規移民生徒の就学[マイテナ・アルマニャーグ(園山大祐訳)]

第4章 他言語話者生徒に教える──学校現場の実践と教職に関する表象[イザベル・リゴーニ(小山晶子訳)]

第5章 授業で移民第一世代生徒の「出身言語」を使用すること──両義的な効果[マイテナ・アルマニャーグ オードレイ・ブーラン(島埜内恵訳)]

第6章 過去と現在にみる他言語話者生徒の担当教師の養成──その展望とは[カトリーヌ・メンドンサ=ディアス ブライム・アザウイ ファティマ・クナン=ダヴァン(園山大祐訳)]

第7章 職業適格証に限られるのか──同伴者のいない未成年移民の学業進路の形成[セリーヌ・ペルシニ(園山大祐訳)]

 第Ⅱ部 定住化する移民子孫の教育達成

第8章 教育支援措置に基づくアプローチ──ステレオタイプ、学校規範の民族化、不平等な扱い[ファブリス・デューム シュザナ・デュキック セヴリンヌ・ショヴェル フィリップ・ペロ(ソッティーレ・マルコ訳)]

第9章 フランスの学校における新規移民生徒──「経路と出自(TeO)」調査に見る、学校教育における受け入れ、経路、「流刑的措置」と経験[ジャン=リュック・プリモン ロール・モゲルー ヤエル・ブランボームヤエル・ブランボーム(園山大祐訳)]

第10章 学校における差別から見る北アフリカ系移民の子孫[シュクリ・ベン=アイェド(田川千尋訳)]

第11章 移民出自を表明している家庭と学校との関係──郊外の庶民地区にある4つの高校を対象とした調査[マチュー・イシュー マルコ・オベルティ(園山大祐訳)]

第12章 移民の子孫と長期就学──社会的・歴史的に位置づけられた学校制度との関係[ポーリーヌ・ヴァロ(田川千尋訳)]

第13章 移民の子どもたちの教育成功に必要な要素──事例研究をとおして[ポール・ニコラ(園山大祐訳)]

第14章 郊外におけるコレージュと移民系家族──教職員による「問題」の文化・エスニック的理解[村上一基]

第15章 学校における移民の子ども──初等教育から高等教育までの教育格差[マチュー・イシュー(村上一基訳)]

終章 移民の子どもをめぐる日本の教育政策の特徴と課題──フランスの移民教育からの示唆[額賀美紗子]

参考文献
用語解説
略語・訳語
フランスの学校系統図(2023年度)
あとがき
人名索引
地名索引
事項索引


定価 6,380円(税込)
刊行月 2025年3月

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