
『大学IR入門:データにもとづく意思決定のための完全ガイド』 中井俊樹・上月翔太 編著(ナカニシヤ出版刊)
『大学IR入門:データにもとづく意思決定のための完全ガイド』 中井俊樹・上月翔太 編著(ナカニシヤ出版刊)
IRにかかわる教職員の必読書!
■本の内容
IRの目的からデータ収集・分析・提示の手法まで、知りたいことがすべてわかる。
・どのようなデータを集めればいいか?
・どうやって意味ある情報に変換するか?
・誰にどんな形で伝えるか?
大学の意思決定を支援するための調査であるIR(Institutional Research)は、教育の質保証、管理運営の高度化、外部への説明責任に重要な役割を期待される。だが、大学を越えて活動内容が共有されにくい。本書は、実践経験豊富な専門家が、IR担当者だけでなくIRを活用する人にも役立つ、普遍的・実践的な手法と工夫を伝授する。
■編著者:
中井俊樹(なかい としき)
愛媛大学教育・学生支援機構教授。専門は大学教育論、人材育成論。1998 年に名古屋大学高等教育研究センター助手となり、同准教授を経て2015 年より現職。日本高等教育開発協会会長、大学教育イノベーション日本代表、大学教育学会理事、日本高等教育学会理事を経験。「大学SD 講座」、「大学の教授法シリーズ」、「看護教育実践シリーズ」のシリーズ編者。そのほかの著書に、『大学FD 入門』(共編著)、『シリーズ大学教育の質保証1 カリキュラムの編成』(編著)、『大学のIRQ&A』(共編著)、『大学教員準備講座』(共著)などがある。
上月翔太(こうづき しょうた)
愛媛大学教育・学生支援機構講師。専門は高等教育論、西洋古典文学、未来思考。日本学術振興会特別研究員(DC2)、大阪産業大学他非常勤講師、大阪大学大学院文学研究科助教、愛媛大学教育・学生支援機構特任助教を経て、2023 年より現職。著書に『シリーズ大学教育の質保証1 カリキュラムの編成』(分担執筆)、『なぜ少年は聖剣を手にし、死神は歌い踊るのか――ポップカルャーと神話を読み解く17 の方法』(分担執筆)などがある。
大津正知(おおつ まさとも)
茨城大学教学イノベーション機構助教。情報戦略機構兼務。専門は高等教育マネジメント。九州大学理学部物理学科卒。九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程(科学史専攻)満期退学後、九州大学特任助手、九州大学職員、中京大学職員を経て2022 年より現職。職歴を通じて、教学改革、大学評価、FD・SD、IR 等に従事。著書に『大学SD 講座1 大学の組織と運営』(分担執筆)、『大学の教務 Q&A 第2 版』(分担執筆)などがある。
坂本規孝(さかもと のりたか)
広島市立大学教育基盤センター特任講師。専門は高等教育論。学校法人立命館で事務職員としての勤務、愛媛大学教育・学生支援機構特定研究員を経て、2024 年より現職。教育コーディネーターとして、教学マネジメントや教学IR を中心にさまざまな学内調整を担う。ノートルダム清心女子大学カリキュラム・アドバイザーを経験。著書に『シリーズ大学教育の質保証1 カリキュラムの編成』(分担執筆)がある。
竹中喜一(たけなか よしかず)
近畿大学IR・教育支援センター准教授。専門は教育工学、大学教育論。民間企業での勤務や関西大学事務職員を経て、2018 年に愛媛大学教育・学生支援機構特任助教となり、同講師、准教授を経て2023 年より現職。関西大学では教学IR プロジェクトの立ち上げにかかわり、愛媛大学と現職でも学生調査を中心としたIR に取り組む。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。著書に『シリーズ大学教育の質保証2 学習成果の評価』(編著)、『大学SD 講座4 大学職員の能力開発』(共編著)などがある。
藤本正己(ふじもと まさみ)
山口大学教育・学生支援機構教学マネジメント室講師。愛媛大学教育・学生支援機構教育企画室プロジェクトフェロー。専門は高等教育論、統計科学。徳島文理大学事務職員を経て、2022 年に愛媛大学教育・学生支援機構特定研究員となり、同特任助教を経て2023 年より現職。博士(学術)。著書に『大学SD 講座4 大学職員の能力開発』(分担執筆)がある。
真鍋亮(まなべ りょう)
愛媛大学教育・学生支援機構特任助教。専門は高等教育論、教育経済学。広島大学教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。松山大学事務職員を経て2024 年より現職。大学教育の経済分析、入試分析、学生調査、成績分析を経験。愛媛大学卒業予報の開発・活用にかかわる。大学教職員向けの教学IR 研修を多数実施。主な論文に「同一大卒者男子における学業成績と期待生涯賃金の関係性――学習効率と雇用効率に着目して」『大学経営政策研究』14 巻、pp.145―161、「大学成績の規定要因に関する実証的研究――学校歴と成績の効果に関する比較検証」『大学入試研究ジャーナル』34 巻、pp.211―217 などがある。
丸山 和昭(まるやま かずあき)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。東北大学大学院教育学研究科博士後期課程修了、博士(教育学)。福島大学総合教育研究センター特任准教授、同准教授、名古屋大学高等教育研究センター准教授を経て2023 年より現職。教学IR にて学生調査の分析等にかかわる。主な論文に「大学の授業とアウトソーシングの是非――大卒者を対象にしたインターネット調査の分析から」『東北教育学会研究紀要』24 巻、pp.29―42、「第三領域における大学教員の仕事とキャリア――国立大学の入試担当とURA の調査から」『名古屋高等教育研究』20 巻、pp.445―464 などがある。
目次
はじめに
第Ⅰ部 IRの特徴と実践の指針
1章 大学におけるIR
1 大学のIRを理解する
2 IRの意義と限界を理解する
3 IRの目的と活動の類型を理解する
4 IRを推進する体制を理解する
2章 IRの指針とプロセス
1 ニーズに応えるIR を理解する
2 標準的なプロセスを理解する
3 活用される情報を提供する
4 さまざまな実践の留意点に配慮する
3章 IRのための問い
1 問いのための視点をふまえる
2 IRにおける問いの類型
3 課題とその構造を整理する
4 問いの設定から調査設計へ
第Ⅱ部 IRの具体的方法
4章 大学の基本情報の提供
1 基本情報の価値を理解する
2 基本情報を収集する
3 冊子にまとめて提供する
4 BIツールで提供する
5章 アンケート調査の設計と実施
1 アンケート調査の意義を理解する
2 アンケート調査を設計する
3 調査票を作成する
4 アンケート調査を実施する
6章 データ分析の基本
1 データ分析に取り組む
2 データ分析の準備を行う
3 データを集計して表にまとめる
4 グラフを用いてデータを可視化する
7章 テキストデータの分析
1 テキストデータの特徴を理解する
2 テキストデータを収集する
3 テキストデータを分析する
4 統計的に処理できるデータへ変換する
8章 他大学との比較
1 なぜ他大学と比較するのか
2 全国における位置づけを把握する
3 ベンチマーキングを行う
4 比較のための環境を整える
9章 中途退学の分析
1 中途退学予防の意義と方法を理解する
2 中途退学の全体的な状況を分析する
3 学生の状況を多面的に把握する
4 中途退学予防の取り組みを支える
10章 教育活動の経済分析
1 教育活動の経済分析について理解する
2 教育の費用を把握する
3 教育の便益を推計する
11章 目標管理の支援
1 目標管理が求められる背景とは
2 目標の設定を支援する
3 達成に向けた支援をする
4 目標や計画を評価する
12章 報告と活用支援
1 活用される報告を行う
2 教職員による活用を支援する
3 学生へのフィードバックを行う
4 学外に公表する
第Ⅲ部 IRの体制と推進
13章 IR部門の運営体制
1 運営体制を規定する必要性を理解する
2 IR部門の役割と体制を規定する
3 データの取り扱いルールを定める
14章 IR活用の促進と発展
1 IRが活用されない場合もある
2 IRにもとづく説明責任の遂行を促す
3 IRにもとづく改善を促す
4 IRに対する学内の関与を高める
付録 IR実施に役立つ資料
① データ分析に活用される手法
② Excel の操作の工夫
③ IR に役立つ分析ツール
④ IR に活用できる定期的調査
用語集/注/参考文献
定価 2,750円(税込)
刊行日 2025年8月12日


