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高等教育関連の新刊書を中心に、さまざまなジャンルの書籍を紹介するコーナー

『「頭がいい」とは何か』 勅使川原真衣 著 (祥伝社新書)

評価され続ける社会は生きづらい

■本の内容

「頭がいい」とは、いったい何を指す言葉なのか。
成績がいいこと? 仕事ができること? 地頭がいいこと? 空気が読めること? 主体性があること?
私たちは学校から職場、さらには私生活に至るまで、無意識のうちに「頭がいい/悪い」という尺度で人を測り、また自分自身も測られてきました。
いまや、書店には「頭がいい人の○○術」のように、「頭がいい」をタイトルに冠する本が氾濫しています。
この曖昧で便利な言葉が広く使われるようになった背景には、〈能力主義〉の存在があります。
能力主義とは、「能力」を個人の資質や努力の結果とみなし、優れた者が多くを得ることを正当化する考え方です。しかし現実には、運や環境、偶然といった要素までもが「能力」に回収され、「評価に晒され続けること」が当たり前になった社会は、多くの人に生きづらさをもたらしています。
外資系コンサルティングファーム勤務を経て独立した著者は、「頭がいい」という言葉の曖昧さを手がかりに、能力主義が生む生きづらさの構造を解きほぐしていきます。
■「頭がいい」子に育てたい、という親の願いは正義なのか。
■「私、頭が悪いので」という前置きに込められた意味とは。
■「頭がいい」は、本当に〈良い〉ことなのか。
評価に振り回されずに生きるための、ポスト能力主義の思考を提示します。


■著者:

勅使川原真衣(てしがわら まい):
1982年横浜生まれ。組織開発専門家。
東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。
外資コンサルティングファーム勤務を経て、2017年に組織開発を専門とする「おのみず株式会社」を設立。企業をはじめ病院、学校などの組織開発を支援する。
二児の母。2020年から乳ガン闘病中。

■目次(抜粋):

第1章 「頭がいい」本ブームの正体
「頭がいい」ってどういうこと?
勤勉さと真面目は似て非なるもの
「頭がいい」本から見えてくるもの
『バカの壁』で語られるバカってどんなバカ?
幼児向けの昔話すら「頭がいい」で括られる時代に
「頭がいい人の○○術」ブーム到来
令和人文主義の台頭とその意外なマッチョさ
教育とビジネス書の意外なシンクロ
ChatGPTが考える「頭がいい人」の条件は?
コラム1 「頭がいい」子に育てたい、は正義なのか?

第2章 曖昧すぎる「頭がいい」の定義
変わり続ける「頭がいい」の定義
雇用システムと「頭のよさ」の指標
企業が求める理想の「シゴデキさん」像
職務要件の曖昧さがもたらす息苦しさ
じゃあ「アタマワル」の条件って?
ジェンダーと「頭がいい」の関係
「私、頭が悪いので」という前置きの真意
はみ出る人は「天才」枠へ?

第3章 「頭がいい」論の罠――「能力」信奉が招いた生きづらさ
成果主義よりも年功序列を望む若手たち
能力主義と選抜はなぜ相性がいいのか
就職氷河期と自己責任論
「頭がいい」は未来に貢献しない
日本が陥ったハイパー能力主義の罠
幸運すらも能力化される社会
ずっと勝ち続けられる人はいない

第4章 「頭がいい」の呪縛をほどく――ポスト能力主義へ
「頭が悪い」が覆い隠しているもの
退職代行の増加が示す職場の現実
評価を絶対視しない――通知表をやめた学校
評価軸を多元化すると呼吸がしやすくなる
みんながちょっとずつ「頭が悪い」社会は健全
競争から共創へ、「頭がいい」を再定義する

おわりに


定価 1,045円(税込)
刊行日 2026年2月4日

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