沖縄大学 山代 寛学長インタビュー[前編]
■学生の学習意欲を高める自校教育
--必修ないしは選択必修の形で、多くの学生が学ぶ特徴的な講座はありますか。
学長がコーディネートしている「沖縄大学論」という講座が、まさにそれにあたります。全学科の学生が選択できる共通科目の一つで、本学の歴史はもちろん、沖縄の抱える諸問題に本学としてどのように取り組んでいくべきか等を考える、人気の講座です。
--いわゆる自校教育の一環ということですね。
実はこの講座は、大学基準協会からも高い評価をいただいており、協会のホームページにも掲載されています。我々としては、「あれ、どこでもやっていることじゃないのかな?」と思っていたのですが、ユニークな取り組みだったようですね。
大学の特長、ココにあり!#2「『沖縄大学で学ぶ意義』を考える教育」|大学基準協会公式note (juaa.or.jp)
--自分の通う大学について知ろうという講座は、ありそうで意外とないようですね。
そのようですね。その点で言えば、沖縄大学は話題が豊富なので、学生たちからも「え?知らなかった!」という驚きの声がよく聞かれます。
--そうした大学のエピソードを聞くと、愛校心も湧きますし、学びに対するモチベーションアップにもつながりますよね。
そうですね。受講生が400人近くいるため、レポートを見るのは正直大変ですが、私はそれを見るのがとても楽しみで。おっしゃられたように、「こういうバックグラウンドをもつ大学に来ていたと知ったことで、学ぶ意欲が湧いた」といったことを書いてくれる学生もいます。
また、先ほども話題に上がった本学の同窓会メンバーからも3~4人、同窓会長をはじめ、県内でも話題の方に、ゲストスピーカーとして登壇してもらっています。例えば、譜久里武(ふくざと たけし)さん(2024年世界マスターズ陸上 男子4×100mリレー 優勝メンバーの一人)。彼もまた、本学の卒業生です。学生たちに「挑戦することを諦めちゃ駄目だ」という話をしてくださいました。
あるいは山城智二(やましろ ともじ)さん。沖縄を拠点に活躍されているお笑い芸人さんで、ドキュメンタリー映画『ファニーズ』を作った映画監督でもいらっしゃいます。とても沖縄大学愛の強い方で、「沖大生時代に何をやったか」という話もしてくださいます。皆さん、学生をやる気にさせる話をしてくださるので、私としても、楽しみな講座の一つです。
--ユニークな卒業生や関係者が多いですね。そういう方がいると大学の広告塔にもなってくださいますよね。
そうですね、ありがたいです。山城監督の『ファニーズ』でも、たくさん沖縄大学を出してくださっています。『ファニーズ』は、若くしてこの世を去った山城監督の実兄、達樹さんの人生を描いたセルフドキュメンタリーです。達樹さんは沖縄大学在学中にお笑いサークルを立ち上げ、卒業後、お笑いの会社を興していきます。しかし、道半ばで亡くなってしまい、弟である智二さんがその志を引き継ぎ、沖縄のお笑い界を牽引していく……というようなストーリーです。お兄さんを偲ぶ映画と言ってもいいのかもしれません。
その物語の中で、「自分たちがどこで形づくられたか」を語るにあたり、「やっぱり大学って大事だよ」というような文脈で本学を取り上げてくださっているので嬉しいですね。
1年次からの少人数ゼミ、「読書の集い」、県外留学制度……沖縄大学自慢のユニークな取り組みが語られる[後編]はこちら
沖縄大学 山代 寛 学長
プロフィール
琉球大学医学部医学科卒業、鳥取大学大学院医学系研究科博士課程修了。
沖縄大学健康栄養学部管理栄養学科教授。
沖縄県禁煙協議会会長/沖縄スピリチュアルケア研究会副会長/
ANDOGネットワーク会長ほか。
専門分野は健康教育、解剖生理学、臨床病態学。
学会発表のほか、各種セミナーの実施や、タバコの健康被害や禁煙に関する勉強会・講演会などの諸活動を精力的に行なっている。
主な著作
『沖縄で学ぶ福祉老年学』(共著)学文社,2009年
Amazon.co.jp: 沖縄で学ぶ福祉老年学 : 西尾敦史, 宮本晋一, 玉木千賀子, 村田真弓, 朝倉輝一, 金城 一雄, 山代 寛, 國吉 和子: 本
インタビュー:原田広幸・馬場雅記(KEIアドバンス コンサルタント)
構成・記事 :山口夏奈(KEIアドバンス コンサルタント)