
日本女子大学 2027年度で家政学部の募集を停止 2028年度より9学部16学科体制へ
日本女子大学は、2025年11月17日、2027年度をもって家政学部の募集を終了することを発表した。また、2028年4月までに既存学部を再編し、新学部を含む9学部16学科体制へ移行するという。
日本女子大学の家政学部は、同大学の前身である日本女子大学校の創立とともに開設された、120年以上の歴史をもつ伝統ある学部。創立者である成瀬仁蔵は、創立当初から自然科学を重視し、家政学の構成要素である「衣」「食」「住」を中心に、⽂系・理系双方の側面から人間と生活を科学的に探究してきた。これまで、各界で活躍する女性実業家や研究者などの先駆的な女性人材を多数輩出。女子高等教育の発展に寄与するとともに、生活者の視点に立脚した実践的かつ学際的な教育・研究を通じ、時代の要請に応じて発展を重ねてきた。
今回の家政学部再編は、各領域が時代のニーズに応じて専門性を高めてきた一方で、従来の「家政学」という枠組みではその学びを十分に包摂できなくなってきたこと、さらに同大学の家政学部が、化学・生物・物理・数学・情報・工学など多様な理系分野を内包していることから、それぞれが独立した学問領域としてさらなる発展が期待できることに基づくという。

画像出典:日本女子大学 プレスリリース
女性の大学進学率が向上し、社会で活躍する分野も広がっている現在、キャリア形成に直結する実学や理系分野を含む、多様で専門性の高い学びを求める受験層は増加傾向にある。多様化する女子学生のニーズに対応し、時代の要請に応えられる女子総合大学としてあり続けるべく、同大学では学部再編が進められている。
そもそも、家政学部の再編は、1992年に家政理学科を私立女子大学として唯一となる「理学部」へと学部化したことをその始まりとする。近年では、 2024年に「建築デザイン学部」、2025年に「食科学部」を開設。さらに 2027 年には女子大初の「経済学部(仮称)」の開設が構想されている。加えて、2028年4月には、家政学部児童学科と人間社会学部心理学科を統合した「人間科学部(仮称)」、ならびに家政学部被服学科を発展させた「ファッションデザイン学部(仮称)」の設置も構想中とのこと。この再編により、同大学は2028年4月に、9学部16学科を擁する⽂理融合の女子総合大学となる予定だ。

画像出典:日本女子大学 プレスリリース
中でも「ファッションデザイン学部(仮称)」は、「デザイン」「テキスタイル」「アート」「ビジネス」の文理融合4分野からの多角的なアプローチをその特徴とし、ファッションに関する知識・技能と問題解決力を養うとともに、人文社会科学および自然科学の視点から幅広く学ぶことで、知の体系からファッションの未来をリードしていくことを目標としている。国際的な視野を持ち、ファッションデザインを通して、持続可能な社会の実現に貢献できる人材の育成が目指される。入学定員は85名を予定。
また、2026年4月には、女性の生涯にわたるキャリアをサポートするプラットフォームの役割を担う「JWU キャリアライフセンター」が新設予定であり、在学生と卒業生を対象とした就学・就業支援体制の構築が進められている。
詳細は下記リンク先から確認できる。
・日本女子大学|【プレスリリースのお知らせ】日本女子大学の創立時から 120 年以上続いた「家政学部」に幕 学部の専門性を高め、2028 年に 9 学部 16 学科体制へ再編
・日本女子大学|【プレスリリースのお知らせ】日本女子大学が「ファッションデザイン学部(仮称)」の 2028 年 4 月開設(構想中)を発表
・日本女子大学|【プレスリリースのお知らせ】日本女子大学が「JWU キャリアライフセンター」を新設
執筆:山口夏奈(KEI大学経営総研 研究員)


