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厚生労働省 医学部臨時定員削減の方針

医師偏在への対策を推進しつつ、定員の適正化を図る方針

厚生労働省は1月21日、「第9回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を開催。大学医学部の「臨時定員」を削除する方針が提案、了承された。

厚生労働省ウェブサイトより
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001379581.pdf

医学部の入学定員は、2008年度より地域枠等を中心に臨時的に増員され、現在は過去最大規模となっている。全国レベルで医師数が増加していた一方、今後の人口減少に伴い将来的には医師需要が減少局面になるため、医学部定員の見直しが検討されてきた。

こうした中、厚生労働省は2024年1月29日に「第1回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を開催、以降継続的に「医師他数県」における地域枠の扱いを議論してきた。第1回検討会では、2024年の定員のまま推移した場合、2050年には約85人に1人が医学部に進学する見通しであるとの推計から、医師の養成数を減らしていく必要性を指摘され、一方で、医師の偏在対策として地域枠の取り組みは大変効果があったとした。

今回、第9回検討会では、2025年度の医学部臨時定員についての報告と、2026年度の臨時定員配分方針、2027年度の医学部定員の方向性が議題となった。

2025年度の臨時定員配分は、第4回検討会で合意された配分方針をもとに、2024年度臨時定員地域枠数を基準として、医師多数県から医師少数県に定員を移動させる形で調整。結果、昨年度の985人(地域枠+研究医枠)から975人に減少した。医師少数県の中で、定員が増加したのは群馬県と新潟県のみだった。

2026年度の医学部定員上限については、2024年6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」において、「2024年度の医学部定員を超えない範囲で設定するとともに、今後の医師の需給状況を踏まえつつ、2027年度以降の医学部定員の適正化の検討を速やかに行う」とされていた。

これを踏まえ、2026年度の医学部定員は、2024年度の医学部総定員を上限とし、上記の2025年度臨時増員の枠組みを暫定的に維持することが提案、了承された他、「医師確保計画策定ガイドライン」に示されている方針に従って調整することとした。なお、医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在の是正を図るため、若手医師が少ない場合や高齢医師に偏っている場合に配慮する等の方針について今後も議論を行っていくという。

2027年度の医学部定員の方向性については、医療需要の減少が見込まれる一方、医師の偏在への対策は必要であるとして、恒久定員内地域枠の設置も含めたより一層の医師偏在対策を進めていくこと、その上で、地域における医師確保への大きな影響が生じない範囲で、医学部臨時定員の適正化(定員の削減)を図ることとした。今後、人口動態等のデータに基づき、2027年度の減員について議論を進めていくこととなる。

詳細は下記リンクより。

医師養成、専門研修、臨床研修、地域枠|厚生労働省

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