『明治の「新しい女」: 佐々城豊寿と娘・信子』小檜山 ルイ 著 (勁草書房)
『明治の「新しい女」: 佐々城豊寿と娘・信子』小檜山 ルイ 著 (勁草書房)
明治期、ジェンダーの布置はいかに再構築され、女性主体によってどう経験されたのか。近代を生き抜いた二人の女性の波乱万丈の人生!
■本の内容
近代日本で、時代の先駆けとなる女性は主体としていかに人生を生きたのか。本書では、明治維新後の女性の経験、近代日本における「恋愛」の登場、自由民権運動と女性、キリスト教と女性などのテーマが交錯する。「新しい女」の先駆ともいえる明治前後の女性の鮮烈な人生を叙述することにより、当時のジェンダーのあり様を照射する。
■『明治の「新しい女」: 佐々城豊寿と娘・信子』目次
プロローグ
第一章 男装の「烈婦」
同世代の究学
女性の場合
東京・横浜へ
女性宣教師の教育
大江卓の「妻」
キリスト教徒の群れ
メアリ・E・キダの結婚
伊東友賢
星艶の東京移住
中村正直における敬天愛人
キリスト教の学び
同人社とカクラン
同人社の女学校
キリスト教と男女平等の混在
東京女子師範学校の設立と星豊寿
伊東本支との恋愛・同棲・結婚
第二章 「積年の習慣を破るべし」
「婦人あみもの会」の設立
メアリ・レヴィットの来日と東京婦人矯風会の設立
会員・組織・資金
豊寿の言論活動
避暑と出産
「世の嘲笑を蒙り」
『婦人言論の自由』
「女子より非常の反対」
脩身職業英和女学校の挫折
ラマバイ夫人への熱中
独自の活動と新しい連帯
新島襄と同志社
慈善音楽会
再びの批判
矯風会副会頭選挙
第三章 「隅の石」
婦人白標倶楽部
浅井柞主導の東京婦人矯風会
新島襄との面会と廃娼運動の盛り上がり
アツケルマン嬢の来日
矯風会退会と東京禁酒会の創立
矯風・廃娼運動
貧困と授産
集会及政社法と女子の議会傍聴禁止
ナショナリズムの高揚の中で
東京婦人禁酒会と婦人矯風会の合併
第四章 「北海の広野」
日本婦人矯風会の発足
実父星雄記と北海道
佐々城本支と北海道
津田仙との関係
矯風会の女性たちと北海道
北海道ブーム
有珠郡紋別
土地を求めて
社会調査と社会批判
住民たちの記憶
保守化を憂えて
一時帰宅
第五章 「神の予定に与った者」
恋愛事件
信子の「剛毅」
プラトニック・ラヴ
信子の「豹変」と独歩に集まる同情
豊寿の反対
離婚
信子の出産
札幌定住と信子の回復
再現
再びの困難
佐々城豊寿と内村鑑三
二人の接近
豊寿の確信
急変
エピローグ 「天のほか人を裁可するあたわず」
あとがき
佐々城豊寿・信子関連 略年表
事項索引
人名索引
定価 5,500 円(税込)
刊行日 2023/10/2
■著者略歴
小檜山 ルイ(こひやま るい)
1957年、神奈川県に生まれる。国際基督教大学大学院比較文化研究科博士課程修了。学術博士(国際基督教大学)。東京女子大学現代教養学部教授(執筆時)。フェリス女学院大学 学長(現在)。
著書:『アメリカ婦人宣教師──来日の背景とその影響』(東京大学出会、1992年)、『結婚の比較文化』(共著、勁草書房、2001年)、『歴史のなかの政教分離』(共著、彩流社、2006年)、『アメリカ・ジェンダー史研究入門』(共編著、青木書店、2010年)、Competing Kingdoms(共著、Duke Univ. Press, 2010)、『帝国の福音──ルーシィ・ピーボディとアメリカの海外伝道』(東京大学出版会、2019年)、『フェリス女学院百五十年史』(共著、フェリス女学院、2022年)など。