
『ユニバーサル化時代の大学はどうあるべきか: ボーダーフリー大学の社会学』葛城浩一 著 (玉川大学出版部刊)
『ユニバーサル化時代の大学はどうあるべきか: ボーダーフリー大学の社会学』葛城浩一 著 (玉川大学出版部刊)
■本の内容
学生数の減少により、事実上の全入状態にある「ボーダーフリー大学」が増加している。しかし、そうした大学での学習・教育・研究の実態はあまり知られていない。日本の高等教育が抱える構造的な問題であるボーダーフリー大学の実態を通して、大学はどうあるべきかを探る。
【著者】葛城浩一(くずき こういち)
1977年生まれ。神戸大学大学教育推進機構准教授。広島大学大学院教育学研究科教育人間科学専攻博士課程修了。博士(教育学)。広島大学高等教育研究開発センターCOE 研究員、香川大学大学教育開発センター(2015年度より大学教育基盤センター)講師、准教授を経て、2021年より現職。共編著書に『〈学ぶ学生〉の実像―大学教育の条件は何か』(勁草書房、2024年)、共著書に『学士課程教育のカリキュラム研究』(東北大学出版会、2021年)、『ノンエリートのためのキャリア教育論―適応と抵抗そして承認と参加』(法律文化社、 2015年)などがある。
【目次】
序章 ボーダーフリー大学を読み解く意義はどこにあるか
1 定員割れを抱える大学の現状
2 日本の高等教育研究におけるボーダーフリー大学研究
第1部 ボーダーフリー大学における学習と教育の実態
第1章 学生とはどのような存在か
1 学習面での問題を抱える学生の割合
2 学習面での問題を抱える学生の実態
3 学習面での多様性の問題への対応とその結果
第2章 教室はいかなる状態に陥るか
1 授業中の逸脱行動の実態
2 授業中の逸脱行動に対する学生の捉え方
3 大学の授業に対する学生の期待
第3章 学生はどうすれば学習するのか
1 授業外学習時間の規定要因に関する先行研究
2 学習面での問題を抱える学生に学習を促す取組
3 学習面での問題を抱える学生に学習を促す取組の実態
第4章 教育の質保証はどうすれば実現できるか
1 教育の質保証の実態
2 教育の質保証の実現に資する各種取組の実施状況
3 教育の質保証の実現を促進する要因の検討
補論 必修科目は卒業や就職の「足枷」となるのか
―障害除去仮説vs 指導機会仮説
第2部 ボーダーフリー大学における教育と研究の実態
第5章 教員とはどのような存在か
1 教育・研究に対する関心
2 教育・研究活動等の実態
3 現在の教育・研究活動等に対する認識
第6章 教員の採用人事はいかに行われるのか
1 アンケート調査からみえる採用人事
2 公募情報からみえる採用人事での研究能力評価
3 公募情報からみえる採用人事での教育能力評価
第7章 研究は教育の質保証に資するのか
1 研究活動に対する期待・支援の現状
2 研究活動に対する期待・支援が教員の研究・教育活動に与える影響
3 教員の研究・教育活動の規定要因
第8章 学生は研究をどう捉えているか
1 インタビュー調査による検証
2 アンケート調査による検証:「研究」に対する学生のイメージ
3 アンケート調査による検証:「学術研究」の必要性に対する学生の認識
補論 卒業研究はどうなされているか
終章 ボーダーフリー大学はどうあるべきか
1 各章における知見の総括
2 ボーダーフリー大学のあり方を考えるための論点
定価 3,300円(税込)
刊行日 2025年4月5日